これは、観にいっちゃおうかな。どこの映画館だ・・たまにないところがあるからな。
俳優の高良(こうら)健吾(23)と鈴木杏(24)が主演した映画「軽蔑」(6月4日公開)の上映会が29日、ロケ地の和歌山・新宮市で行われた。同市といえば故・中上健次さんの故郷。高良は役で悩んだ際、中上さんとの“心の対話”を支えに撮影を乗りきれたという。今作を手掛けた廣木隆一監督(57)には駆け出しのころに鍛えられ、成長。2人の“恩師”に報いるためにも縁の地でヒットさせることを誓った。
台風2号の影響であいにくの雨だったが、上映会は新宮市民会館で3回行われ、いずれも満員。今作は1992年に46歳で亡くなった中上さんの最後の長編小説を初めて映画化した。
撮影は都内のほか、中上さんの故郷・新宮市内で昨年10月下旬から3週間行われた。「演技に迷った時、心の中で『中上さん、どうしたらいいですか?』と。不思議と心強くなった。中上さんに感謝の気持ちしかありません」と高良。
勝手気ままに生きる男とポールダンサーの命がけの純愛と悲しい末路を描く。高良が感謝したのは中上さんだけではない。話題の映画に立て続けに出演する引っ張りだこの高良だが、18歳の時、廣木監督の映画「M」に出演して「役者の軸を作ってもらった」。今回が2度目の本格タッグ。
「廣木さんはモニターを見ず、ずっと僕の近くにいる。ものすごい安心感。テクニックの演技では絶対に『OK』が出ない。これまでの生き方から出てくるものを見ている。今回は23年間の自分を見せられた」。クランクアップで号泣した。「『頑張ったね』とほめてあげたくなった」からだという。
鈴木は劇中でポールダンスを披露するなど、新境地となる熱演。「“よろい”を廣木さんに剥がされた。演技中、何も考えず、頭が真っ白になった時に『OK』が出た。完成作品を見て、今まで見たことのない表情。これまで初号試写を見る時、不安で怖かったけど、今回は違った。素直に『いい作品』と薦められます」と胸を張った。
高良と鈴木の頑張りを、廣木監督は「2人のハンパない生命力が映画のパワーになっている」とたたえていた。