2011年5月6日金曜日

「キッズ・オールライト」 リサ・チョロデンコ監督

同性夫婦を描いた作品だ。どんな形であっても愛は愛。
エロ動画でも表現中。
第68回ゴールデングローブ賞のミュージカル/コメディー部門で作品賞と主演女優賞を獲得した映画「キッズ・オールライト」が日本に上陸する。同性夫婦の一家を通し、家族や愛情のあり方をユーモアを交えて描く。自らの暮らしをもとに、脚本も手掛けたリサ・チョロデンコ監督が思いを語った。(橋本奈実)

 チョロデンコ監督は、“自らの日常”をテーマとした作品を作りたいと考えていたという。「私とパートナーは家族になる決意をし、精子ドナーの利用を決めていたの。母親が2人いる私の家族をもとに、万国共通のテーマである家族の良い時と悪い時を描けると思いました」

 そんな折、脚本や演出など幅広い活動をこなす旧友のスチュアート・ブルムバーグ氏とコーヒーショップで出会う。新作の相談をしたところ「彼が大学時代に精子ドナーを行ったことを教えてくれてね。即座に、一緒に脚本を書かないかと誘ったの」と語る。

 《ニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)は同性夫婦。結婚し、18歳の娘(ミア・ワシコウスカ)と15歳の息子(ジョシュ・ハッチャーソン)と郊外で暮らしていた。ある日、姉弟は2人のママに内証で、遺伝子上の父(マーク・ラファロ)を捜し…》

 脚本を書いているとき、愛息が生まれた。息子の存在は登場人物の感情を構成する上で役立ったという。キャスティングにもこだわり、時間をかけた。「同性夫婦に見えることがポイントだった。2人は異性愛者ですが、役柄をよく理解していたし、ともに子供のいる同性夫婦と接点があったので。スクリーン上にうまく表現できると考えた」

 家族のつながりは、いかなる環境であれ、普遍性があると考える。「同性夫婦と異性愛者同士の家庭は、まったく変わらないことを表現したかった。面白おかしくも、ヒーロー的な存在としても描かない。ありのままの一般の人間として描いたつもりです」

 最後に、日本での上映にあたり、東日本大震災、原発事故に心を痛める監督はこう語った。「感情的に、精神的に、経済的に支え合い、この状況を乗り越えるために、今こそ家族が結束することが必要だと思います。今作がみなさんの、ひとときの安らぎになれば」

 29日から、シネ・リーブル梅田ほかで公開。