2011年8月17日水曜日

若手俳優・市川知宏、新境地のドSキャラ

オードリー・ヘプバーン主演で映画化もされたミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作として知られる戯曲『ピグマリオン』で、若手俳優・市川知宏(19)が初舞台で初主演に抜てきされた。2009年のドラマデビュー以降堅調にキャリアを重ね、今年ACジャパンのCMでは草食系ならぬ“知層男子”として話題を集めた市川だが、今回の舞台では“ドSキャラ”の教授役で新境地を拓く。ORICON STYLEのインタビューに「機械的な人間だと思っていたら、演じていくうちに人間らしさも見えてきました」と語る市川。「“取りあえず言うことを聞け”というドSキャラですが、どんどん面白くなっています」と手応えを感じているようだ。

ドSができるならレイプものとかもできそうですね。

 市川演じるヘンリー・ヒギンズ教授は、過去に高島忠夫、宝田明、村井国夫など名だたる“東宝スター”が演じてきた大役であり、ヒロインの花売り娘・イライザを一流のレディに育て上げる、いわば人生の先導役。自分の頭の良さを自覚し、周囲を見下したような態度を見せるヒギンズを初舞台の市川が演じるには、余りにも若い。尻ごみをする気持ちもあるのかと思いきや「あまり意識しないようにしています。前作を意識して気負うよりも、別物としてやっていこうと思っています」と、座長として決意を固めたようだ。

 同舞台の見どころの一つは、高慢でドSなヒギンズと、女優・高野志穂(31)演じるイライザとの恋模様。実際の二人は12歳差だが、市川が「見た目は全然見えなくて、でも、話すとすごくしっかりされていて。“お母さん”に近い気がしますね」と思わず口を滑らすと、周囲の女性スタッフから「えーっ、お母さんて!?」との声。「いや、お姉ちゃんかな」と即訂正したが、舞台とは違って現実の年上の女性には少しタジタジといったところが微笑ましい。

 舞台の見せ場については「全部観て欲しいです!!」と直球の返答。ベテランの共演者に囲まれながら、1日7時間の稽古をかじりつく様な思いで連日挑んできた。「一人あたりのセリフも、掛け合いもすごく多いんです。『今回頑張れば、今後は苦しまないよ。どんな作品でも乗り切れる』と皆さんが言ってくださるので、乗り越えたいです」と熱い胸の内を明かす。

 役者デビューから3年目。かつ、自身も9月6日に20歳へと成人する、10代最後の仕事として巡ってきた同舞台。「こういう経験をできる事は、本当に大きいです。この舞台を終えて、千穐楽の2日後に誕生日を迎えた“ハタチの自分”に出会うのが、楽しみでもあります。今後“10代の頃は何してたかな?”って思い返したら、きっとこの作品が思い浮かぶと思います」。

 第21回『ジュノンスーパーボーイ』グランプリを獲得した端正なルックスの持ち主だが、その外見からは想像しがたい、少し不器用ともいえる生真面目さを持ち、10代ならではの内側からあふれる瑞々しさと熱さを感じさせる市川。取材が終了し、「すごく真面目でいらっしゃいますよね」と声を掛けると「そうです。いまどき珍しいですよ! こんな子」と、いたずらっぽく笑う姿は、少年と大人の間を行き来する、あどけない魅力にあふれていた。

 市川主演の『ピグマリオン』は東京「池袋あうるすぽっと」にて8月19日(金)~9月4日(日)まで上演。ヒロイン・高野をはじめ、みのすけ、浦嶋りんこ、加治将樹、尾藤イサオが出演。21日(日)、23日(火)、29日(月)にトークショーがあり、24日・31(水)は市川の握手会も予定されている。