2011年8月12日金曜日

伝説のAV女優“自殺の真相”…

こういうのってつらいんだよな。エロ動画の世界だけではなくてね・・分かる人にはわかる。

6年前の2005年6月26日、35歳の誕生日を翌日に控えた人気AV女優が謎の死を遂げた。新聞や週刊誌で「AV女優 謎の自殺」と報じられたことをまだ覚えている方はいるだろうか?

 急逝したのは林由美香さん。200本を超えるAVに出演し、04年には第17回ピンク大賞を受賞、出演したピンク映画「たまもの」がライプツィヒ国際映画祭に招待されるなど、AVの垣根を跳び越えて活躍していた。今も大勢のファンを持つ伝説のAV女優だ。

 これまで、林さんの死の真相は謎に包まれていた。その封印を解くドキュメンタリー映画「監督失格」が9月3日にロードショー公開される。監督は、林さんの元恋人で、死亡現場で第一発見者となった平野勝之監督だ。

 96年、平野監督と林さんは北海道まで1カ月間の自転車旅行に出た。当時、林さんは恋人ができても4カ月以上続いたことがなかった。人を深く愛することができない彼女が平野監督に同行したのは、自分の寂しさを紛らわすためと、なんでも受け止めてくれる監督の優しさだった。

 たどり着いた目的地の、北の果ての孤島でたがいに真っ裸になって踊るふたり。天真爛漫な喜びぶりを記録した映像はのちにAVや一般映画として公開もされた。

 しかしあまりに違う性格が原因となり、心はやがてすれ違う。喧嘩しては罵り合い、結局はどちらかが泣いて謝る。傷をなめ合うようなふたりの姿は、東京に帰ってから自然に別れる運命を示唆していた。

 別れから6年後、ある企画で再び林さんをテーマにドキュメンタリーを撮るという話が平野監督に舞い込んだ。彼女と別れて以来、作品を生み出すことができなかった平野監督は「ケリをつけなければ何もできない」と、意を決してコンタクトを取り、約束の日にマンションに会いに行った。しかしいくらチャイムを鳴らしても林さんは出ない。翌日も訪れた平野監督は異変を確信した。

 「由美香はこんなことで仕事に穴を開ける奴じゃない」

 林さんの母親に来てもらい部屋に入った平野監督が第一発見者となる。その様子を、足元のカメラが無情にも黙々と記録していた。そのことで、平野監督は警察の疑念を招いた。「なぜカメラが用意され、撮影されていたのか。平野監督が死に関与しているのではないか」というのだ。

 もちろん疑念はすぐに晴れるが、このこともあって、平野監督、林さんの母、弁護士との間で文書が交わされ、偶然撮られたそのフィルムは「公開禁止」と決まった。

 時が過ぎ、母親の了承もあって、禁断のフィルムが公開されることになったが、それでも平野監督は、自分が林さんを忘れることが怖いために作品にして公開したくなかったという。「編集中、平野監督はひたすら泣いていた」と作品関係者は明かす。

 かつての恋人を思う愛と映画監督としての思い。ふたつが交錯した、迫真のドキュメンタリーだ。