2011年3月27日日曜日

日本のアカデミーショーのお話

日本アカデミーショーの作品は、見たくなるのが当然。
DVDでも借りてこようかな。最近の夜長は・・ゆっくりした。いつも時代かアダルト動画とかのノミネートもあるんだろうか。


2010年日本映画公開作品の賞レースは、2月18日に開催された日本アカデミー賞授賞式をもって区切りがついた。蓋を開けてみれば東宝が賞を総なめした形となったが、やはり『告白』『悪人』の両作品が映画マーケットに与えたインパクトが大きい。テレビ局主導の大作以外にも、バラエティ豊かな作品群がそれぞれの魅力をアピールし、シーンを彩ることで、新たな道を拓くことができるという事実を、今年の東宝の戦略は証明してみせた。

第34回日本アカデミー賞、おもな最優秀賞受賞一覧(ページ下に記載)

■国内賞レースは脱テレビに軍配

 日本アカデミー賞は、毎日映画コンクールやブルーリボン賞、キネマ旬報ベストテンなど、映画記者、映画評論家たちが選ぶ賞の発表後に、日本国内の映画関係者を軸にしたアカデミー会員がどの作品を称えるか、常に賞の行方が話題になるが、今年は特に力作が揃って、注目度もさらに高まっていた。

 まず、作品賞、脚本賞、監督賞、編集賞に輝いたのは『告白』。中学生の殺人、教師の復讐といった過激な内容によってR15+となったこともあり、作品賞は難しいと思われていたが、38億5000万円超の興行収入をあげたヒット作であり、なにより難しい題材をエンタテインメントに仕上げた脚本・監督の中島哲也が評価された(ちなみにこの作品はブルーリボン賞でも作品賞に選ばれている)。

 一方、俳優関連の賞は『悪人』が独占した。主演男優賞=妻夫木聡、主演女優=深津絵里、助演男優=柄本明、助演女優=樹木希林、そして音楽賞の久石譲まで、今年最多の5 部門に輝いている(ブルーリボン賞では主演男優賞、キネマ旬報ベストテンでは作品賞、脚本賞=吉田修一、助演男優賞に選ばれている)。

 結果を見れば、東宝配給の作品がほぼ賞を総なめしたかたちとなった。特に、『告白』と『悪人』は、近年のヒットの方程式であったテレビ局の参加が過激な内容によって望めなかった。そうした2作品が昨年の興行収入ランキング20本のなかに入ったというのも今後への影響も大きい。この功績によって流れが変わる可能性が出てきている。

■映画DVDは細かい提案でファンを獲得する時期に入った

 昨年の映画動向の全体をみていくと、日本映画の興行収入は前年比100.8%と、決して大きく数字を伸ばしたわけではない。さらにスクリーン数は前年よりも14も増えているわりに、動員が3%増に留まっている。また、公開本数では、日本映画が408本、洋画308本と、前年からは数字を減らしたものの、まだまだ数が多いことを問題視する声も聞かれる。

 だが、バラエティ豊かな作品群がそれぞれの魅力をアピールし、シーンを彩ることで、新たな道が拓けてくるという事実は、今年の東宝の戦略が証明している。もちろん公開されたすべての日本映画がヒットするということはない。テレビ局主導でコミックの映画化やテレビドラマの劇場版でヒットを狙い、きっちりと稼ぎ出した上で、斬新な作品に場を与える努力。あるいはニッチな題材をその対象を違わずに送り出すマーケティング力が、興行に求められる。そうして対象を掴み切り、劇場で作品の存在を浸透させてからDVD展開を考えるべきだろう。

 昨年、DVDのセールスが伸びなかったことで映像分野に危機感が募っているが、DVD販売各社は紋切り型の訴求からきめの細かい提案でファンを獲得する時期に入ったと解釈すべきだろう。いくら劇場動員が伸びなくても、DVD、テレビ放映、配信など、現在ほど映画が見られている時代はない。映画は方法次第で大いなる可能性を秘めていることを改めて感じさせる今年の賞レースとなった。